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  NCS情報マガジン〈八宝菜〉   No.025 2004/11/17

                日本コンピューター・システム株式会社
                http://www.ncs.co.jp/newsletter/
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 二か月間のご無沙汰でした。NCSの〈八宝菜〉です。

 そのむかし、いわゆる“ラップトップ・パソコン”というものが登場した
ばかりのころ、その名に反してあまりに重いので、「こんなものを膝に乗せ
て仕事したら、膝が砕ける」などと、みなで笑いあっていたものでした。
“膝に乗せられないラップトップ・パソコン”のような名前負けした製品は、
ある程度以上の年齢の方には、苦々しくも懐かしいパソコン史の一ページで
ありましょう。

 名前負けというのとはちょっとちがいますが、最近、名前どおりの使いか
たがしにくくなった機器があります。そう、“モバイル・パソコン”です。

 持ち運ぶからこそのモバイル・パソコンなんですけれども、あまりにも高
機能化し、ハードディスクが大容量化してしまったため、職場で使っている
モバイル・パソコンは、もはや怖くて気軽に持ち運べないものになってしま
いました。大切な情報がぎっしり詰まっているんですから、置き忘れたり盗
まれたりしたらどえらいことです。小型軽量化しているということは、忘れ
やすい、盗みやすいということです。便利になった分が仇になっているわけ
で、なんとも皮肉なことではあります。

 「大事なデータは入れないよ」などと言っている人は要注意。パソコンを
使うということは、すなわち、見る人が見ればいくらでも悪用できる重要な
情報を、履歴・痕跡としてパソコンの中に残してしまうということなのです。
あなたのパソコンに、あなたすら意識していない重要な情報がどれだけ残っ
ていることやら、想像もつきません。仮に、情報が重要度に見合う質量を持っ
ていたとしたら、きっとあなたのモバイル・パソコンは、重くて持ち運べな
いくらいでしょう。

 ガートナージャパンの調査では、「ノート・パソコンなどのモバイル情報
機器を,約5割の企業ユーザーが自己判断で社外に持ち出している」「2割
のユーザーがモバイル情報機器の持ち出しに関する社内規定(ガイドライン)
がない」( http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20040929/150564/ )
といった結果が出ているそうです。これはちょっと怖いですね。もし、みな
さんの職場に、「おっ、このノートパソコン、40メガバイトHDD内蔵か。
すごいなあ」と感動していたころの牧歌的感覚が残っているとしたら、即、
意識改革とガイドラインの整備に取り組んでください。

 “持ち運べないモバイル・パソコン”なんて、ずいぶん理不尽な気がしま
すが、職場のノート型パソコンは、持ち運ぶためではなく省スペースのため
だと割り切って、原則持ち出し禁止にしたうえで、厳格な持ち出しルールを
運用してゆくしかありませんよね。ハードディスクを丸ごと暗号化するといっ
た対策はありますが、そうした対策は、あくまで「不幸中の幸い」を得るた
めの“フェイル・セーフ”であって、置き忘れたり盗まれたりする危険を少
しも減じるものではありません。外で紛失しようにもできない仕組み、つま
り、“フール・プルーフ”を先に考えるのが道理というものです。あたりま
えのことですが、パソコンは紛失しないに越したことはないのです。

 これからのシーズン、お酒を飲む夜のおつきあいが増えるかと思います。
モバイル・パソコンの紛失にはくれぐれもお気をつけください。

                              (編集長)

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今号(第25号)の内容                          
  
  ★ NCSニュース

  ★ 連載コラム『みちこのIT活用講座』
      第2章 “情報化戦略”

  ★ セミナー・イベント・展示会等のご案内
    1.『モデル駆動開発統合支援ツール「Xupper」&EAセミナー
                〜 いかに企業の全体最適化を図るか 〜』
    2.『情報セキュリティセミナー
                〜 会社を潰さない仕組みづくりから 〜』
    3.『需要予測支援システム〈ForecastPRO〉無料体験セミナー』

  ★ ITエッセイ『たじたじ争論』
      第二五回「ITスキル標準 ITSS IT Skill Standard」

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◆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆―――――――――――――――――――――◆
 プロセス管理 アジャイル開発     ソフトウェア技術者のための……
  エクストリーム・プログラミング    『NCS技報オンライン』
   コンポーネントベース開発       http://www.ncs.co.jp/tech/
◆―――――――――――――――――――――――〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆〆◆

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★ NCSニュース ―――――――――――――――☆

■東京本社を東京都港区東新橋に移転し、2004年10月12日(火)よ
り新事業所にて営業を開始いたしました。
http://www.ncs.co.jp/tokyo_honsha_iten.htm?code=hps025

■NCSウェブサイト「投資家情報」−「財務情報」に、「平成17年 3
月期 中間決算短信(連結)」「平成17年 3月期 個別中間財務諸表の
概要」を掲載しています。
http://www.ncs.co.jp/ir/index.html?code=hps025

■NCSウェブサイトでは、更新情報のRSSを提供しています。NCSか
らのお知らせを迅速にキャッチしていただけます。ぜひご活用ください。
http://www.ncs.co.jp/rss/index.html?code=hps025


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★ 連載コラム『みちこのIT活用講座』 ―――――――――――――――☆

 第2章 “情報化戦略”

 朝晩日増しに冷え込むようになってきましたが、みなさまはお風邪など召さ
れていませんか。今年も早いもので、残すところあと1ヶ月半足らずとなりま
した。年末に向けてお忙しい日々を送ってらっしゃる方にとっては、風邪をひ
いている場合ではないかもしれませんね。今回も元気に「IT活用講座」をお
届けしましょう。

 今回のキーワードは“情報化戦略”です。

 前回の「IT活用講座」で、「ITコーディネータ」をご紹介しました。覚
えていらっしゃいますか。

 お忘れの方のためにちょっと復習をしますと、ITコーディネータは経済産
業省が推進する、国策に沿った資格です。お客様の経営戦略の策定から、情報
化への企画、システムの調達、システム導入後に効果が上がっているかどうか
のモニタリングまで、トータルにサポートします。

 それでITコーディネータは、経営とITの“橋渡し役“なんです、という
お話をしました。

 ではどうやって、経営とITの橋渡しをするのでしょうか。

 〈八宝菜〉をお読みの方の中には、経営者の方も多くいらっしゃると思いま
す。突然ですが、経営者の方にお聞きします。「御社の経営戦略は、何ですか?」
「御社の目的(ゴール)は、何ですか?」経営者以外の方も頭の中に思い浮か
べてください。

 ほとんどの方は、すぐにお返事をいただけることと思います。ですが、「御
社の情報化戦略は、何ですか?」「御社の情報化最終目標は、何ですか?」と
いう質問に対してはいかがでしょうか。情報化戦略があるとお答えになった方、
経営戦略と情報化戦略と御社でお使いになっている情報システムはどう結びつ
いていますか。

 ITコーディネータは、ITCプロセスに沿って経営者の方とご一緒に、企
業の改革の目的を明確にし、現状の姿を分析して正しくとらえ、“あるべき姿”
を決定し、その“あるべき姿”へ組織を変革するための経営戦略の策定から、
その経営戦略に沿った情報化戦略、どう情報化するのかを考え、改革のお手伝
いをします。

 コンサルタントの中でも、経営とITと両方に精通したエキスパートとして
認められている人だけが、ITコーディネータと名乗ることができます。

 コンサルタントなんて不要だ、社内リソースで賄えばいいじゃないか、とい
う声があるかもしれません。しかし、実際そういうわけでもないんですよね。

 事業体の改革を進めるためには、外部から客観的に捉えるのが必要です。経
営陣や社員の方だけで改革チームを作ろうとすると、どうしても社内の人間関
係や“社内員”というフィルターを通しての、ものの見方が邪魔をしてしまい
ます。社内の事情を持ち込んでは、真の改革などできません。

 何だかおおげさだなぁと思われた方がいらっしゃるかもしれません。企業規
模にもよりますが、案外身近なところに重要な“改革のための道具”があるか
もしれませんよ。

 今回はここまでです。またお会いしましょう。


                       (本部企画室・山中美智子)


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― 「ニニニニ ――――――――――――――――――――――――――――
   || ∩ ∩||  「ITが重要なのはわかるけど、
   || ー ||       じゃあ、ウチでは具体的にどうやって……?」
   ニニニニ」
   ━┷┷━ _  中小企業の情報化なら、NCSにご相談ください。
  [圭圭圭圭圭] ヽ ITコーディネータ有資格者が、的確な情報化投資を
         ノ お手伝いします。       consult@ncs.co.jp
――――  ⊂∋´―――――――――――――――――――――――――――


★ セミナー・イベント・展示会等のご案内 ――――――――――――――☆

  1.『モデル駆動開発統合支援ツール「Xupper」&EAセミナー
                〜 いかに企業の全体最適化を図るか 〜』
  2.『情報セキュリティセミナー
                〜 会社を潰さない仕組みづくりから 〜』
  3.『需要予測支援システム〈ForecastPRO〉無料体験セミナー』

   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【1】『モデル駆動開発統合支援ツール「Xupper」&EAセミナー
                〜 いかに企業の全体最適化を図るか 〜』

★詳しくはこちら↓
http://www.ncs.co.jp/tech/seminar/xupper_ea_seminar.htm?code=hps025


 ビジネスモデル構築ツール、上流工程分析・設計支援ツールとして定評の
ある、ケン・システムコンサルティング株式会社の「Xupper」(クロスアッ
パー)によるエンタープライズ・アーキテクチャ(EA)へのアプローチを
ご紹介いたします。

 部分最適化から全体最適化へと視点の転換が求められているいま、真に企
業の競争力となる情報システムをめざすITエンジニアの方々は、開発の上
流工程で決定的な差がつく先進の分析・設計手法に、ぜひ触れてみてくださ
い。

【日 時】2004年11月24日(水) 13:30 〜 16:30

【会 場】大阪市中央区城見1−3−7 松下IMPビル 16F
     日本コンピューター・システム株式会社 セミナールーム

【主 催】日本コンピューター・システム株式会社

【共 催】ケン・システムコンサルティング株式会社

【定員】30名様

【参加費】無料

【プログラム】
 《第1部》
  ◆DOAによるエンドユーザ参画型の開発方法論と
              上流ツール「Xupper」のご紹介
 《第二部》
  ◆EAのコンセプトを実現する情報システム設計の進め方
             〜 「Xupper」を使用したEAの策定 〜
 《第三部》
  ◆中小企業へのEAアプローチ
 《デモンストレーション・展示》 「Xupper」

【お申し込み】↓こちらのページからお申し込みください。
http://www.ncs.co.jp/tech/seminar/xupper_ea_seminar.htm?code=hps025

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【2】『情報セキュリティセミナー
             〜 会社を潰さない仕組みづくりから 〜』

★詳しくはこちら↓
http://www.ncs.co.jp/tech/seminar/info_sec.htm?code=hps025


 企業経営に「加える」ものではなく「埋め込む」ものとしての情報セキュ
リティの強化を、無形のマネジメントシステム構築と、有形のインフラ実装
との両面から実践することをご提案いたします。

【日 時】2004年12月22日(水) 13:30 〜 16:30

【会 場】大阪市福島区福島5−6−16 ラグザタワーノースオフィス
     マイクロソフト株式会社 関西営業所
【主 催】日本コンピューター・システム株式会社
     マイクロソフト株式会社

【定員】50名様

【参加費】無料

【プログラム】
  ◆情報セキュリティマネジメントの必要性
  ◆マイクロソフトテクノロジーでのベースラインセキュリティの構成
   (Active Directory, System Management Server ほか)

【お申し込み】↓こちらのページからお申し込みください。
http://www.ncs.co.jp/tech/seminar/info_sec.htm?code=hps025

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【2】『需要予測支援システム〈ForecastPRO〉無料体験セミナー』

★詳しくはこちら↓
http://www.ncs.co.jp/seminar/forecastpro_seminar.htm?code=hps025

 SCMの要である需給調整においては、理論的な裏付けのある予測デー
タに基いた精度の高い需要予測が求められています。需要予測支援システ
ム〈ForecastPRO〉を実際に操作していただきながら、その概要をご紹介
するセミナーです。受講には、統計等の専門的な知識はいっさい必要あり
ません。ぜひ、先進の需要予測をご体感ください。


【日 時】2004年11月22日(月) 13:30 〜 16:00
     2005年 1月21日(金) 13:30 〜 16:00
          2月22日(月) 13:30 〜 16:00

【会 場】名古屋市中村区名駅4-2-28 名古屋第2埼玉ビル6階
     日本コンピューター・システム株式会社 名古屋支社

【主 催】日本コンピューター・システム株式会社

【参加費】無料

【お申し込み】↓こちらのページからお申し込みください。
http://www.ncs.co.jp/seminar/forecastpro_seminar.htm?code=hps025

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★ ITエッセイ『たじたじ争論』 ―――――――――――――――☆

 第二五回「ITスキル標準 ITSS IT Skill Standard」

 二十年くらいむかしは、システムエンジニアというのは詩人みたいなもの
で、誰でも簡単になれたものです。名刺に「SE」と刷れば、ああら不思議、
その日からあなたもたちまちシステムエンジニア、道端にゴザを敷いてガリ
版刷りの自作の詩集を売りはじめるよりも簡単です――というのは、いくら
なんでも少し誇張が入っていますが、IT業界の方なら、一面の真実を含ん
だ話だと苦笑いなさるのではないでしょうか。ある意味、つい最近まで、事
態は二十年前とそれほど変わるものではありませんでした。

 こういうことを言うと、ITにほとんど縁のない生活をしていらっしゃる
方々は驚かれるかもしれませんが、ITサービスの提供者になるために“絶
対に必要な資格”といったものはないのです。医者はどんなヤブ医者(失礼)
でも医師免許を持っていますし、どんなに教えかたが下手な先生でも、一応、
教員資格はあるわけですよね。つまり、最低限のスキルレベルの保証がある
(“品質保証”ではない点にご注意ください)。最低限のボーダーラインに
かろうじてぶらさがっている医者にかかりたいと思う人がいるかどうかは別
にしても、少なくとも、「国が定めた基準を、かつて一度はクリアしたこと
がある人である」ということだけは、患者、すなわち、顧客にわかるように
はなっています。

 ITサービスの提供者(システム作りに携わる技術者ばかりでなく、マー
ケターや営業員、保守要員、カスタマサポート要員なども含まれますよね)
の場合、最低限のスキルレベルの保証はおろか、目安になる“ものさし”す
ら、つい最近までなかったのです。国が認定する「情報処理技術者試験」、
また、IT商品・サービスの提供企業などが独自に認定する、いわゆる「ベン
ダー資格」などは数え切れないほどあるのですが、むろんそれらは独立して
存在するものですから、みなが共通のよりどころにできるような枠組みに準
拠しているわけではありません。自動車の整備士とブルドーザの操縦者と旅
客機のパーサーを比べて、「乗りものサービスの提供者として、誰がどのく
らいのレベルか議論しろ」と言われても、途方に暮れますでしょう?

 ITが社会インフラとして不可欠なものになり、人々の生活の円滑な運営
はもちろん、ときとして人の財産や生命にもかかわったりするような時代に、
これでははなはだ具合が悪い。先ほど医者を例に挙げましたが、まさにIT
サービスの提供者たちにも、医療サービスの提供者たちに匹敵する社会的責
任が課せられていると申せましょう。歯科医と眼科医と脳外科医と心理カウン
セラーと看護師と救急救命士が、同じ医療サービスの提供者だけれども求め
られる具体的な技能はまるで異なるように、ネットワーク技術者とシステム
開発技術者とシステム管理技術者とデータベース技術者とセールスエンジニ
アとマーケターと営業員とインストラクタと事務員とでは、同じITサービ
スの提供者でも、求められる知識やスキルは、まったくちがいます。もはや
IT業界も、「SEと営業」などというおおざっぱな区分けだけでやってい
たのでは、人材の育成や調達がままならなくなってきているのです。細分化
されたさまざまな職種・専門分野の人間がオーガナイズされた動きをしては
じめて、まともなクオリティのサービスが提供できる成熟した段階に、IT
業界もようやく到達したということでもあるでしょう。

 誇張でもなんでもない話ですが、たとえば“そこそこのSE”が設計した
データベースシステムを、データベース専門のエンジニアが再設計・調整す
ると、数倍はおろか、十倍も、二十倍も効率的に動作するといったことが起
こったりします。ネットワークだって同じです。パソコン数台がなんとか繋
がって機能すればいいという程度のネットワークなら、そこいらへんの学生
にだって構築できますが、大規模なネットワークを効率よく安定的に稼動さ
せ、堅固なセキュリティを保って運用するとなると、専門特化したネットワー
ク技術者、システム管理技術者、セキュリティ技術者らが、持てる技術を結
集しなければなりません。「目が痛い」と言っている人に歯科医が鎮痛剤を
処方することはできますし、それで痛みは緩和されるかもしれませんが、そ
のままずっと歯科医に目を診てもらって安心な人はいないでしょう。繰り返
しになりますけれども、現代のIT技術は、もはや医学と同じくらいに専門
性の高いものになっているのです。眼科医も歯科医も医者ですから、基本的
な人体の仕組みや最大公約数的医療には通じていますが、目の治療となると、
歯科医は眼科医にとてもかなわないはずです。IT業界も、すでにそういう
世界になっているのです。

 そこで、経済産業省が「各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力
を明確化・体系化した指標」として定めたのが、「ITスキル標準」(IT Skill
 Standard/ITSS)です。2002年12月に Ver.1.0 が発表されました。I
Tサービスを11の職種、38の専門分野に分類し、IT技術者個人の能力
や実績に基いて7段階のレベルを規定しています。これをご覧になると、I
T技術者なるものが、医者並みに専門特化しているのがおわかりになること
と思います。これでようやく、IT技術者の分類やスキルレベルに関して、
議論のよりどころにできる公的な“ものさし”が提示されたわけです。むろん、
ITスキル標準はまだまだ改良の余地や課題を残している体系ではあります
が、これだけのものを国が提示した意義とインパクトは大きく、ITに関連
する業界では、ITスキル標準への関心がどんどん高まっています。ITス
キル標準の詳しい内容にご関心をお持ちの方は、情報処理推進機構(IPA)
内の「ITスキル標準センター」( http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/ )
に解説・資料がありますので、ぜひご参照ください。

 ITスキル標準は、技術者個人のキャリアパス設計のよりどころとなるば
かりではなく、人材の流動性が他業界に比べてとくに高いIT業界では、自
社に必要な優秀な人材を調達する際にも、今後、欠かせない基準となってく
ることは必定です。生え抜きの医者ばかりの総合病院なんて想像できますか?
確率的に考えても、生え抜きの医者が全員名医ばかりなどということは、ま
ずあり得ません。また、その病院の内部だけで、いろんな専門分野の医者が
まんべんなくバランスよく育つとも考えにくいでしょう。もちろん、その病
院を辞めてゆく医者だっています。この大競争時代に、新人の医者ばかり採
用してゼロから教育している余裕なんてありませんから、高いサービスの質
を維持するには、必然的に、適宜外部から必要なスキルを持った人材を調達
する必要があります。その際、「経験五年以上の医師募集!」などというお
おざっぱな求人広告を掲げる病院がありましょうか? あったら、ちょっと
怖いですね。「目医者でも歯医者でもなんでもええんかい!」と突っ込みた
くなります。まともな病院なら、「バイパス手術において三百例以上の執刀
責任者経験を有する心臓外科医募集」といった具合に募集するのではないで
しょうか? IT技術者も、早晩、このような求人のされかたをするように
なるにちがいありません。ITスキル標準は、技術者個人ばかりでなく、採
用側の企業にも、また、その顧客にも、「IT技術者の職種・専門分野・ス
キルレベルを、共通の言葉で語るためのものさし」として、好むと好まざる
とにかかわらず、浸透してゆくことになるでしょう。

 こうした社会の変化を受け、この“業界標準のものさし”をなんらかの形
で人事制度に取り入れ、組み込もうとする動きが、近年IT業界では盛んに
なってきています。最初からITスキル標準にぴったりフィットする人事制
度を持っている会社などあろうはずもなく、各社いろいろと苦労なさってい
るようですが、IT業界の人材市場で優秀な人材を奪い合うのですから、「I
Tスキル標準で言えば、この職種・この専門分野・このスキルレベルの人が
欲しい。この条件に該当する人は、当社ではこれこれこういうふうに処遇さ
れている」と提示できなければ、求人市場ではなんとしても不利です。つま
り、ITスキル標準という“ものさし”の出現によって、各IT企業内部で
独自に評価していた人材の価値を、徐々にオープンな市場価値に連動させざ
るを得なくなってくると言ってよいでしょう。言い換えれば、中途入社者を
どう処遇するかの基準が明確でない会社は、じつは既存社員の価値も明確に
評価できていないということです。これでは、人材の流動性が高いIT業界
では、そもそも人材市場で同じ土俵に乗ることができません。だから、IT
スキル標準というメートル原器が、無視できない状況になっているのです。

 ITのユーザ側の立場にある方々は、これからはITサービスの提供者を
“医療関係者”だと思って見てみてください。「この手術(プロジェクト)
には、麻酔科医がいなくても大丈夫なのだろうか?」という問題意識を持つ
ことが、“かかりつけの病院”をよい病院に育ててゆくことにもなります。
また、ITサービスの提供側の方々は、「私は医療関係者です」などという
自己紹介には、あまり意味がなくなってくることを覚悟しておいたほうがよ
いでしょう。「私は脳外科医です」「私は免疫疾患の専門医です」「私は看
護師です」「私は救急救命士です」と名のれるように、自己のキャリアを設
計してゆかねばならない時代になったのです。面倒くさいですね。「私はI
Tに関することなら、なにをやらせても一流です」と名のれればいちばん面
倒がなくてカッコいいのですが、残念ながら私はいま、生身の人間の話をし
ているのです。

     (本部企画室・堀江秀保/情報セキュリティアドミニストレータ)


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NCS情報マガジン〈八宝菜〉  No.025

日本コンピューター・システム株式会社      http://www.ncs.co.jp/

発行:日本コンピューター・システム株式会社
編集:日本コンピューター・システム株式会社 本部企画室〈八宝菜〉事務局

お問い合せ等は、〈八宝菜〉事務局(happosai@osa.ncs.co.jp)へどうぞ。

Copyright(C) Nippon Computer System Co.,Ltd.
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